上野駅と日暮里駅の間にある、今は使われていない地下駅。東京都選定歴史的建造物に指定されている「旧博物館動物園駅」

上野駅から徒歩15分ほどの場所で出会うことができる、「旧博物館動物園駅」。かつては、京成電鉄本線の京成上野駅から日暮里駅間の地下駅として機能していました。そこで今回は、旧博物館動物園駅の歴史と見所をご紹介します。

旧博物館動物園駅の開業は、戦前の1933年。帝室博物館（現・東京国立博物館）や、上野動物園の最寄り駅として利用されてきました。しかし、乗降客の減少などにより1997年に営業を停止し、2004年に廃止。駅事務室とホームは地下にあるため、現在は出入口にあたる建物を見ることができます。

旧博物館動物園駅の位置する場所は、皇室で代々引き継がれてきた「世伝（せいでん）御料地」であったことから、駅舎の建設には天皇陛下の許可を得る必要がありました。特別な土地に建設されることから、西洋風の荘厳な造りとなったのだそう。そんな駅舎は、2018年に鉄道施設としては初めて「東京都選定歴史建造物」に選定。さらに、駅舎のリニューアルも実施され、上野エリアにおける新たな文化のシンボルとして生まれ変わりました。桜御影と呼ばれる淡紅色の石材がはめ込まれたクラシカルな佇まいは、とても印象的です。

ちなみに、リニューアルのために新設された出入り口の扉は、東京藝術大学美術学部長である日比野克彦氏によるデザインによるものだそう。上野動物園や東京国立博物館、国立科学博物館など上野を象徴するアイコンが装飾されているので、注目してみて。