西洋とアジアがMIXしたレトロ建築。個性的なデザインで人気の「本願寺伝道院」

神社仏閣だけでなく、近代建築も多く立ち並ぶ京都。今回紹介する「本願寺伝道院」も人気のレトロ建築のひとつです。イギリス建築を基調としながら随所に日本を含むアジア建築の様式も取り入れた独特のデザインが魅力。アクセスもいいので、京都観光の際は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

浄土真宗本願寺派の本山・西本願寺。世界文化遺産にも指定されている同寺の総門から東に歩いてすぐの場所にあるのが「本願寺伝道院」です。現在は僧侶の教化育成の道場として利用されていますが、もともとは生命保険会社の社屋として1895年に設立されました。

設計は、築地本願寺や東京都慰霊堂（震災記念堂）なども手掛けた伊東忠太。法隆寺などの建築研究を行い、建築史家としても知られている伊東は、建築調査のため中国やインド、トルコ、ギリシャなどへの渡航経歴を持ちます。そのため様々な文化が混ざり合った個性的な美しさが彼の建築物の特徴。同院も外壁はレンガ色の化粧タイル張りでイギリス様式。でも、屋根では千鳥破風と呼ばれる日本の建築様式を石造りで表現していたり、インド建築に見られる円ドームや中国風の意匠を取り入れたりと、西洋とアジアが混在したデザインになっています。さらに建物の周りをぐるりと囲む石像にも注目。翼の生えたゾウや長いくちばしを持つ鳥など、ユニークな霊獣が彫られているのでチェックしてみて。